故意に嘘をつく、ということに関して 〔對馬訳〕



 嘘も方便、ではなくて、’嘘を吐いてはならない’。

『比丘たちよ、一法あり、それを犯す人間にとりて、悪業として為されざるはなし〔出来ないことはない〕と、我は説く』


 禅定の時に理解されるが、禅定〔正定〕のためにも、嘘を付いてはならない。


 別訳も記しているが、要するに、嘘を吐いてはならない。




  故意に嘘をつく、ということに関して

 たしかに次の事を世尊が説かれた、尊むべきお方が説かれた、と私は聞きました。

「比丘たちよ、一法あり、それを犯す人間にとりて、悪業として為されないことはない〔出来ないことはない〕と、我は説く。

 一法とは何か。

 比丘たち、すなわち、知りて嘘をつくことである」

 この事柄を世尊は語られ、それについて次のように説かれた。

 一法を犯して、すなわち、嘘を付いて、他の世を遮る人にとりて、悪として犯せないものはない。

 この事柄をもまた、世尊が説かれた、と私は聞いている。

                                                  イティヴッタカ







 故意に嘘をつく、ということに関して 〔別訳〕

 たしかに次の事を世尊が説かれた、尊むべきお方が説かれた、と私は聞いている。

「比丘たち、人が一つの事柄をあえてしたら、私は’彼にとりて、これ以上なしてはならぬ、いかなる悪い行いもない’と言う。

 一つの事柄とは何か。

 比丘たち、すなわち、故意に嘘をつく事柄である」

 この事柄を世尊は語られ、それについて次のように説かれた。

 一つの事柄をあえてして、すなわち、嘘を付いて、他の世を心にかけない人にとり、これ以上なしてはならぬ罪悪はない。

 この事柄をもまた、世尊が説かれた、と私は聞いている。

                                                  イティヴッタカ